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新入生・中学生の皆さんへ

東京都立豊島高等学校について
 
1 校訓「至誠」
  東京都立豊島高等学校は、86年前に高等女学校として開校しました。初代校長が「至誠」を校訓としたとき、女性としての「思いやり」や「おもてなし」を大事に、との思いを込めていたそうです。しかし、共学校になってから70年以上もたっているのに、いつまでも同じ理念を抱えているというのも変な話です。教育は「不易と流行」と言って、時代に抗しても変えるべきではないものを保持する必要がある一方、時代の流れに沿って変わっていくものでもあるという、むずかしい営みです。
私が4年前に本校の校長になったとき、校訓「至誠」を「誠に至る」と「究極に至る誠」と、二つに読み下してみました。前者はプロセス、後者は理想です。この二つを考えあわせ、「何事にも誠心誠意全力で取り組む生徒」を育てる学校にしたい、と考えました。

 
2 強みと弱み
  本校の生徒は、女子高の伝統を受け継いでいるからか、入学してくる子どもの層がそうであるからなのか、全体的におとなしく、素直で真面目です。上履きのかかとをつぶさず、どこでも誰にでも挨拶できる生徒は、都立高校172校を見渡してみてもそうそういるものではありません。授業態度も極めてよく、喫煙や暴力などの不正行為による特別指導も長い間ほとんどありませんでした。これは本校生徒の美徳であり、強みです。
ところが、人を押しのけてでも前へ出ようとしない真面目なおとなしさは、こと本人の進路意識や学習状況に照らしてみたとき、あきらめと妥協につながりやすいという弱みにもつながっています。入学したときオール4、偏差値にして56くらいあった成績が、学年が進むにつれ少しずつ落ちていき、最終的な卒業時の進路は、他のオール2、偏差値43の生徒が入学する都立高校生が進む進路と変わらなくなります。この状況はもったいないと言うより、上級学校に進んでから人間関係や講義内容などに本人が大きく幻滅し、希望や刺激をもった楽しいキャンパスライフを謳歌できないこととなり、これまでそういう多くの都立卒業生をみてきた私からすれば、かわいそうです。

 
 
3 二つの教育目標
この弱みを克服し、強みを伸ばして、校訓を実現するために、私は二つの教育目標を掲げました。「一段高い進路希望の実現」と「主体性の育成」です。前者については、校長の先輩方から「入学時の進路希望が国公立の都立生は多い。それよりもさらに一段高いとは何を目指すのか」「第一志望実現校でよいのではないか」とアドバイスをいただきました。私の説明がまずいのかもしれませんが、はっきり言って、入学したときの進路希望なんて何とでも言えます。さっき紹介した偏差値43の生徒だって、第1回の進路希望調査で7割は国公立志望です。そうではなくて、自分の卒業後の進路について真剣に考えたとき、自分の成績じゃこのくらいの大学しか入れないな、部活動を一所懸命やっているとなかなか勉強できないから、ほぼ無試験の専門学校に行こうかな、といった、あきらめと妥協を君たちの生きる姿勢から排除したいのです。だから、自分の入りたい上級学校を見定めたら、学力の現状からいかに高根の花だろうと、あきらめないで、一段高い進路希望を保ったままにしていただきたい。それが一つ目の願いです。
また、本校生徒の指示待ちや受け身の姿勢は、あきらめや妥協の姿勢につながりやすいのです。それは、自分で考え、判断し、高い目標に向かって粘り強くあきらめずに努力する主体性に欠けているからです。私たちが高校生に求めている学習のプロセスは、「習得→活用→探究」です。本校生徒は、教員の授業にも責任がありますが、習得から活用へのプロセスあたりをうろうろとはい回っていることが多く、結局は上級学校に合格するための戦略や戦術も明確でないまま、やみくもに勉強していることが多いのです。それを改善する必要があります。
どうか、時代の流行に乗って、探究の姿勢を身につけ、授業にも人間関係にも学校行事にも主体性を発揮し、明確な戦略のもと学力向上に邁進し、一段高い進路希望を実現し、上級学校でもさらに切磋琢磨できる、刺激の多い豊かな人生を歩めるよう祈っています。君たちにはそれをことごとく実現できるポテンシャルが、存分に備わっているのだから。

 
 
 
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